2016年10月13日木曜日

レイテのOMOTENASHI

地域:東南アジア
国:フィリピン共和国
テーマ:戦争、日本、外から見た日本


この写真を見てください。


どこの国で撮影されたか分かりますか?
ヒント:みなさんに身近なところでいうと、バナナで有名かもしれません。



答えは、フィリピンのレイテ島で撮影されたものです。
実は、この人はボランティアの佐保さんです。
彼が日本人だということに気づいていましたか?


さて、何をしているところでしょう?

トゥバ(ヤシから作られたお酒)を飲んでいます。
仲よさそうにしていますね。


ところで、レイテ島という名前、どこかで聞いたことはありませんか?
実は、第二次世界大戦の激戦区の一つとして非常に有名です。
もし、知らなかったという人はインターネットなどで「レイテ島」で検索をするとたくさんの情報が出てくるので、どれほど有名かがわかると思います。

多くの人が亡くなったレイテ島。

戦争が終わった後、日本人が島に渡った時に日本を憎む現地の人から石を投げつけられたりしたというエピソードも耳にしていたので、写真に写っている佐保さんは、自分がレイテ島へボランティアとして行くことがが決まった時、もしかしたら辛い思いをするかもしれないと覚悟をしたそうです。

しかし、そんなことはなく、とてもよくしてもらったとのこと。
実際、写真に写る佐保さんと現地の人はとても仲良く、楽しそうです。

直接はっきりと聞いたわけではないけれど、どうやら現地の人は《過去のことは過去のこと、現在の日本人(佐保さん)には罪はない》といった考え方で自分をあたたかく受け入れてくれたのではないかと感じたそうです。

次の写真は佐保さんが授業用サンプルとして作った手編みのニットの国旗を持ってポーズを決める職場の同僚たちだそうです。(佐保さんは現地の服飾系職業訓練校のボランティアでした)


憎んでいる国の国旗だったらこんな表情で一緒に写真に写れませんよね。

【補足】
もちろん、フィリピンのすべての人が佐保さんの周りの人のように日本人のことを好きでいてくれているわけではないでしょう。しかし、過去の関係を乗り越えて今日の関係が築かれているということはぜひ知ってもらいたいと思います。
なんとなくの情報に惑わされず、これをきっかけにして過去の出来事への関心を持ってもらえると幸いです。


語り手/写真:佐保好信(さほよしのぶ)
活動時期・形態:2011-2013 ・青年海外協力隊(服飾)
聞き手/編集:糀広大

2016年8月26日金曜日

トコロ変われば…

地域:アフリカ
国:ガーナ
テーマ:死生観、文化の違い


これが何か分かりますか?


じゃあ、もうひとつヒントを、


これでどうだ?なんだこれは?


答えは、西アフリカのガーナの棺桶です。
ちなみに最後の写真の棺桶は「アリ」の形なんだとか。
亡くなった方が生前の「職業」や「好きだったもの」、「憧れていたもの」などをモチーフにして棺桶を作るそうです。
棺桶の撮影をしていたら棺桶職人さん(生きている)が「こうやって入るんだよ」とデモンストレーションをしてくれたようです。

こういった棺桶は値段が高いので、お金持ちにしかなかなかできないそうですが、なかなか衝撃的な文化ですね。

ちなみに、葬式の時は村の人が集まって陽気にダンスをするそうです。
また、亡くなった方のグッズ(Tシャツやステッカーなど)販売も行われるそうでまるでミュージシャンのライブ会場みたいですね。
写真は亡なった方のプリントされたTシャツを着ている姿です。


ところ変われば死生観も変わる。
ふざけているように思われるかもしれませんが、亡くなった人への思いがなければこんなことしませんよね。
日本式、ガーナ式。
あなたはどっちのお葬式が好きですか?

【補足】
三浦さんが直接見たわけではないそうですが、他の地域のボランティアをしていた知人から聞いた話では亡くなった方を電飾で飾ってクリスマスツリーのようにしている葬式も見たことがあるそうです。大がかりな葬式をする場合は亡くなってから葬式が行われるまでに半年近くかかることもあるらしく、その間は遺体の腐敗を防ぐために冷凍保存されるそうです。
ガーナはキリスト教とイスラム教、そして伝統的な宗教が混在しているので宗教によっては上に書いたようなことはありません。

【ポイント】
他国の文化は、正しい/正しくないと論ずる類のものではなく、考えるきっかけとして非常に面白いものです。
もし、子どもから「おかしい!」といった意見が多く出るようであれば、日本の場合でもお通夜というものがあること、そこでは亡くなった方との思い出話でお酒を飲んだり、笑ったりすることなどを挙げつつ、方法の違いはあれども、「死者への弔い」という意味では大きく変わらないんじゃないか?といった問題提起をするのがいいかもしれません。

語り手/写真:三浦菜津子(みうらなつこ)
活動時期・形態:2012-2014 ・青年海外協力隊(PCインストラクター)
聞き手:糀広大

2016年8月25日木曜日

子どもの死を前に思うこと

地域:アフリカ
国:ニジェール
テーマ:死生観、援助の在り方、医療、伝統文化


この写真を見て気づくことを教えてください。
(どこでとられた?どういう状況?誰が写ってる?などなど)



これは、マラリア(蚊を媒介に流行する感染症)で亡くなったニジェールの子どもの写真です。マラリアは世界の半分ぐらいの国で流行していて、年間に2億人以上がかかり、200万人程度の死亡者がいます。


写真を見て、世界で多くの人が亡くなっていると聞いてどんなことを考えましたか?
おそらく多くの人が頭の中で、

「なんとかしなきゃ!」「助けたい!」
と思ったんじゃないでしょうか?

その思いは自然だと思います。
そして、だからこそ多くの国や団体、企業などが様々な方法でマラリアの多く発症する地域の支援をしています。


しかし、実際に感染症対策のため、ニジェールで国際ボランティアをしてきた阿南さんは今でも「国際協力は本当に必要なんだろうか」と考えるそうです。

厳しい環境の中を生きる人々は、信仰を守り、生も死も受け入れて、幸せそうに笑って生活をしていたそうです。

「死にゆく人を助けたい」という援助する側の思いと、死を受け入れつつ「前向きに生きている人々」というあまりにも矛盾する価値観を目の当たりにした阿南さんならではの考察に思わず私も唸ってしまいました。

みなさんはどう感じますか?
自分ならどう感じるか。行ってみないとわからないことかもしれませんね。
実際にいつの日かいってみてはどうでしょう?
今にも落ちてきそうな満点の星空、静まり返った砂漠の夜。
ニジェールの「豊かさ」をあなたも発見できるかもしれませんよ。


【補足】
子どもの死というショッキングなトピックなので、感情を抜きで考察をするのが難しいかもしれません。「そんなの絶対だめだ」という一方的で感情的な価値観に終始するのではなく、現地の人の思いや考えに「寄り添う」ような想像的な話の展開をしたいところです。
「医療:死を受け入れられない」「宗教:死を受け入れている」などといったリフレーミングをすると違う意見が出るきっかけになるかもしれません。

語り手/写真:阿南栄子(あなんえいこ)
活動時期・形態:2008-2010 ・青年海外協力隊(感染症対策)
聞き手:糀広大

2016年6月9日木曜日

頭かくして…

地域:中東
国:バーレーン
テーマ:イスラム教、伝統文化、文化の違い、民族衣装

この写真はどこで撮られたものでしょう?



中東にあるバーレーン王国の在外公館で働いていた高木さんが友達の部屋に招待されたときに撮影したオフショットです。

「ちょっとまって!」

写真を撮ろうとすると彼女たちは慌ててヒジャブ(顔を覆う布)を被りました。
(イスラム教の多くの国では女性は男性と同席する場ではヒジャブを着用します)

「えっ女性しかいないよ!なんで被るの?!」

高木さんが尋ねると、彼女たちは口をそろえて、
「現像する人が男性かもしれないじゃない!」

おもしろいですね。

ヒジャブ(国によって他の呼び方をする場合もある)の着用方法も実はひとつではありません。たとえば、バーレーンのように髪を覆い隠すだけの国もあれば、目しか出さない国や、なんと目も薄い布で覆い隠す国もあるそうです。
そもそも、着用する理由はなんなんでしょう?
興味をもったらぜひ調べてみてくださいね。

※もし、大人になってみんながイスラム圏に旅行をすることがあったら写真を撮るときには気をつけようね。
【おまけ】
似たような話ですが、バーレーン王国の結婚式では披露宴も男女別。女性披露宴に出席すると参加者はみなヒジャブを脱いでいますが、新郎新婦入場のアナウンスが流れると大急ぎでヒジャブを被るそうですよ。
日本人から見ると暑そうなヒジャブですが、実は快適な夏用のものなどもあるんだって。


語り手/写真:高木美奈子
活動時期・形態:2004-2006 ・在外公館派遣員
聞き手:糀広大

2016年5月28日土曜日

ブラジルは近い国?遠い国?

地域:中南米
国:ブラジル
テーマ:日系社会、海外移民

さて、この2枚の写真を見てください。4人の中で誰がブラジル人でしょう!?
(どうしてそう思ったか、選ばなかった人はどこの人かなどの質問をしつつ深めます)



正解は全員ブラジル人です。
ブラジルには肌が褐色系の人、目が青く金髪の人、私たち日本人に似たような人が住んでいます。

さて、もう一度この写真をみてください。


右の女の子、見れば見るほど日本人顔ですよね。
また、次の写真もブラジルで撮影されたものです。


左上は?(玉入れ)
その下は?(雛人形)
その横は?(鳥居)
その上はちょっと見えにくいですが、日本の食品(カレーのルーなど)が並んでいます。

日本人っぽい女の子がいることや、たくさんの日本の文化がブラジルで見られることは、今から100年以上前(1908年)に始まった日本人によるブラジルへの移民が関連しています。

当時の日本は大変な食料不足で、仕事もあまりありませんでした。仕事を得るために船で3ヶ月かけてブラジルまで渡り、日本とは異なる言語や習慣の中、移民当時はコーヒー農園での労働や、未開拓な荒野の開墾に精を出しました。

2015年現在、ブラジルでは約160万人(公益財団法人海外日系人協会参照)の日系人が生活し、今日まで日本語や日本文化が継承されて来ました。町の中には鳥居や日本語の看板、スーパーには納豆やお味噌、そして盆踊りやカラオケ大会など日本の行事を、あちらこちらで目にします。更には日系6世まで誕生しています。

また今日では、静岡県や神奈川県、群馬県などの企業でも多くの日系ブラジル人が働いており、ブラジル料理のレストランやカーニバルなど日本でもブラジルの文化を直接味わうことができます。

どうですか?ブラジルが身近に感じられませんか?
関心を持ったら是非ブラジルや移民のことを少し調べてみてください。

【追記】
面白いことにアフリカ系の人は主に北部(暑い地域)に、ヨーロッパ系やアジア系の人は主に南部(寒い地域)にと、もともと住んでいた地域の気候と似ている州に住んでいるようです。

語り手/写真:福永みゆき
活動時期・形態:2008-2010 ・日系社会青年ボランティア(日本語教師)

2016年5月18日水曜日

平均年齢

地域:アジア
国:カンボジア
テーマ:戦争、紛争、虐殺、共産主義、少年兵

この写真をみてください。
何の写真でしょう?



河野さんがカンボジアでボランティア活動をしていた時に職場(職業訓練校)の先生、生徒と撮影したものだそうです。
何か気づくことはありませんか?

写っている人の年齢は何歳ぐらいだと思いますか?


カンボジアの国民の平均年齢はなんと23-24歳だといわれています。
(日本は45歳ぐらい)

職場ではなく、国民「全体」の平均年齢です。
どうしてだと思いますか?


カンボジアでは、40年ほど前にポルポトによる軍事政権(クメールルージュ)に支配された時代がありました。
医者、教師、看護師、僧侶、芸術家、歌手、踊り子などなど少しでも知識や技術を持つ人間は片っ端から殺されました。また都市部で眼鏡をかけている、外国語を話したというだけで知識人とみなされ次々に殺されました。正確な人数はいまだに判明していませんが、200-300万人、実に全国民の3分の1から4分の1がポルポト政権下で殺害されたといわれています。
多くの大人が殺害されていき、残ったのは多くの子どもたち。子どもたちは洗脳され多くが兵士やスパイになり、政権を支えました。
このような状況は政権が終わるまでの4年間続きました。

映画の中の話ではなく、実際にこの地球上で起きたこと。
宇宙人なんかの侵略ではなく、人間が人間を大量虐殺したという歴史。
目をそむけたくなるような話ですが、胸に刻んでおきたい、おくべき話です。


【話し手による補足】
※実施にあたって知っていてほしい背景知識

カンボジア内戦を引き起こしたポル・ポトは、「全民・全農主義」という思想を持っていました。それは究極の平等主義です。
今、日本はお金持ちもいればそうじゃない人もたくさんいます。それはいいことですか?
ポル・ポトはそれをとても不平等であると考えました。政治家も農民も平等に「畑を耕し、自分が食べるものは自分で作るべきだ」という思想を持ち、政権を勝ち取りました。
不平等を正し、よりよい社会が実現する!と村人たちが思っていたら、ある日、カンボジアの各家庭にいきなり軍人がやってきて「みんな家の外に出ろ」と広場に村人を集め、子どもと大人を引き離して別の場所へ連れて行きました。
なぜ、子どもを大人と引き離したか、わかりますか?子どもは大人と違い、いろんな経験をしていません。
「人を殺してはいけない」ということは当たり前のことです。でも、小さなころから「政府の意見と違う人間は殺すべきだ」という教育を受けたら、どうなると思いますか?良識のある大人(親)が周りにいたら「それは違う」と制止できたかもしれませんが、親と引き離され、「教育」を施された子どもたちはまんまと立派な政府のスパイや暗殺者になってしまいました。中には、自分の親や親類を殺してしまった人もたくさんいます。
内戦が終了したのち、カンボジアは少年兵として育ってしまった子どもたちに再教育をしようとしました。今まで「人を殺していい」といわれて、親まで殺した子どもたちがすんなり受け入れられたと思いますか?子どもたちは混乱し暴れたといいます。
また、カンボジアで生き残った知識層も数が少なく、再教育は非常に困難でした。
カンボジアの政府は内戦時に海外へ亡命した知識層を大臣クラスで呼び戻したいと要請しますが、親兄弟や親類を殺されている人たちばかりで「親の敵の為に働きたくない。特に少年兵の再教育なんてもってのほか」とカンボジアへの帰国を拒否しました。
こういった背景から、カンボジアの復興にはとても時間がかかっています。
*ポルポト時代に少年兵だった子どもたちは、現在40代です。立派にカンボジアを支えていますが、そのころのお話は禁句です。

【おまけ】
現在、カンボジアの町は若者と子どもが非常に多く活気に満ち溢れています。日本は静かで、住宅地に幼稚園を建設するというだけで子どもの声がうるさいと反対運動までありますよね。カンボジアは基本的に騒音に寛大です。子どもの声を騒音としてとらえるなんて日本は音に敏感なんだなぁ、と思います。

語り手/写真:河野菜津子
活動時期・形態:2007-2009 ・青年海外協力隊(織布)、2009-2011・カンボジアのスタディーツアーなど、2012-現在・カンボジア教育支援プロジェクトなど
聞き手:糀広大

【クイズの答え】
※FBから飛んできた方へ



答えはC.E.I.Kの四人でした。(Cは河野さん)
あっていましたか?
私は、先生も生徒も若すぎてわかりませんでした。

ちなみに、次の二つの写真は全員先生だそうです。


2016年5月9日月曜日

大人の階段

地域:アフリカ
国:セネガル
テーマ:文化の違い、伝統文化、通過儀礼

今日は西アフリカにあるセネガルという国の話です。
みなさん、セネガルという国を知っていますか?

さて、この写真を見てください。
セネガルで撮影されたものです。
気づくことはありますか?
(何をしているのか、どこにいるのか、この後なにが行われるのかなど)




実は、このあと彼らは身体のある部分をちょんぎります。
ヒントは・・・全員男の子です。
さて、どこでしょう。

正解は、「ちんちん」です。
ちんちんの皮の一部を切り取ることを「割礼(かつれい)」と呼びます。
だいたい、10才前後になると行われ、早い子だと3才ぐらいで、遅い子だと15才ぐらいで行います。

「うぎゃーーーー」
って思った人、そうです。セネガルの子どもたちも割礼をするとき「うぎゃー」と叫ぶのだそうですよ。
「うぎゃー」っと叫んで手術(?)が終わると、白装束に杖をもった姿で村を歩き回り、周りの大人たちからお祝いとしてお金などをもらいます。

なぜお祝いをもらえるかというと割礼をすることが、大人になることを意味していて、子孫繁栄のための第一歩なんですね。

話を聞きながらぞっとしたかもしれません。
アフリカの野蛮な風習で、そんなことをしない日本が多数派(普通)だよ!って思いましたか?

日本ではあまり一般的ではない割礼ですが、実はかなり多くの国で行われています。
ちなみにアメリカでも6割程度の男の子が生まれてすぐに割礼をするようですよ。

セネガルの病院で働いていた山田さんは子どもが割礼を行うたびに部屋から「うぎゃー」っと叫ぶ声を聴きながら「割礼をすることにおどろいている」と村の18歳ぐらいの青年に伝えたところ、その青年は不思議そうな顔で次のように答えたそうです。

「えっ!じゃあ日本ではどうやって子孫を残すんだ?」

割礼文化の背景として宗教的なものだけでなく、衛生面のため、子孫繁栄のためなど様々な理由が言われていますが、古くはエジプトの壁画にも残っている割礼の風景。多くの国では「普通のこと」なのかもしれません。

【合わせて面白い話】
他にも、人口の9割以上がイスラム教のセネガルではラマダーン(断食)が行われています。日本人にはなじみのない断食ですが、発育への影響を考慮して、実は子どもの頃から大人と同じようにするわけではなく、大きくなるにつれ少しずつ実施しています。
初めて大人と同じ期間断食ができた時の子どもの表情はそれはそれは自信に満ちているそうです。
「やったーーーー!大人になったぞーーーー!」
彼らにとって断食も一つの子どもから大人への通過儀礼といえるのかもしれないですね。
【実施上の注意】
性的な内容を含むので扱い方については自己責任でどうぞ。

語り手/写真:山田直之
活動時期・形態:2011-2013 ・青年海外協力隊(村落開発普及員)
聞き手:糀広大

2016年5月1日日曜日

パラオの祝日

地域:大洋州
国:パラオ共和国
テーマ:戦争、外から見た日本

49日が何の日か知っていますか?
(考える時間)

この写真を見てください。

西太平洋戦没者の碑へのご拝礼
アンガウル島へのご拝礼
なんの写真かわかりますか?
これは2015年4月9日に天皇皇后両陛下がパラオのペリリュー島をご訪問された時の写真です。また、次の写真から島民がいかに熱烈に歓迎されたかが伝わってきます。


天皇皇后両陛下は今回パラオを全ての戦没者に祈りを捧げるためにとご訪問されたということで、米陸軍の慰霊碑にも拝礼をしています。

米陸軍第81歩兵師団慰霊碑へのご拝礼

さて、改めて質問です。
4月9日は何の日でしょうか?

天皇皇后両陛下がパラオをご訪問した日?
半分正解です。

次の写真は2016年の4月9日のものです。


なんと、パラオのペリリュー島では両陛下のご訪問を受けて49日を祝日と法律で制定しました。
これは、例えばエリザベス女王やローマ法王が訪日して、それが日本の祝日になるようなものです。大変名誉なことではありますが、それが祝日になるかといえばならないですよね。

4月9日はペリリュー州の祝日です。

【メモ】
パラオが親日国であるというのが非常によく分かるエピソードです。
合わせて、パラオと日本の関係などについて少し調べてみるとよいかもしれません。
ちなみに、今回写真をご提供していただいたDavid McQuillenさんもおじさんをペリリュー島で亡くしている遺族です。今回宮崎さんが趣旨を説明すると喜んで画像提供していただけたそうです。
後日、ペリリュー島であった凄惨な戦争についてもアップする予定ですので、そちらとも合わせてどうぞ。

語り手/情報提供:宮崎聡美
写真:David McQuillen
活動時期・形態:2011-2013 ・青年海外協力隊(小学校教諭)2015-現在(移住)

2016年3月29日火曜日

難民申請中

地域:アフリカ
国:スーダン
テーマ:難民、紛争

難民というのは政治的に、経済的に、あるいは病気の蔓延や、紛争、治安の悪化など様々な理由でその土地に住めなくなった人たちのことをいいます。

難民には子どももいます。
難民にはおじいさんもおばあさんもいます。
難民には男も女もいます。

難民には赤ちゃんもいます。

アフリカにもアジアにも、世界のいたるところにいます。

世界中には5950万人もの人がなんらかの形で移動を強いられています。(UNHCR,2014年調べ)

この地球上に今も家を追われる人はいますが、難民申請を通過しないと受けれてもらうことができません。みなさんも、テレビなどで国境を越えられず困っている人たちをみたことがありませんか?

テレビでしか見たことがなかったとしても、テレビの中の世界ではありません。





写真はスーダンで難民申請中の子どもたちです。

「お父さんはいないことにしてるの・・・」
と子どもたちが話している時に、「ただいま」とお父さんが帰ってきたそうです。

お父さんがいない「こと」にしていたほうが申請が通りやすいからだそうですが、もし申請が通ったとしてもいないはずのお父さんは一緒に行くことができませんので親子別々の生活が始まります。

もし、あなたが自分の住み慣れた家や土地を追われてどこかに移住をしなくなければいけなくなったらどうでしょうか。また、移住しようとしても受け入れてくれる国や地域が見つからなかったらどんな気持ちがしますか?

【補足】
難民の定義や昨今の動向など、UNHCRのホームページを確認していただければ多くの情報が集められます。
日本ではなかなか身近に接することのない問題だからこそ、意識しておきたい問題です。
子どもたちにも自分の身に置き換えて考えてほしいと思います。


語り手/写真:鄭春香
活動時期・形態:2011-2013 ・在外公館派遣員
聞き手:糀広大

2016年3月3日木曜日

YOUはおかしさに気づいてた?

地域:アジア
国:日本
テーマ:メディアリテラシー、差別意識、外から見た日本

今回は写真ではありません。

この文字を見てください。
(画像ですので、拡大して印刷することもできます)



こういうテロップ(字幕)をテレビで見たことがありませんか?
その時、ゲラゲラと笑っていませんでしたか?

日本に5年間住んでいるというDAVIDさんはオーストラリアのテレビ番組でこんな字幕をつけたら間違いなく大問題になるし、テレビ局にクレームが殺到するだろうと言って眉をひそめていました。

もし、英語を話しているあなたの映像にこんなテロップがついていたらどうでしょう?



そして、それを見て誰かがゲラゲラと笑っているところを想像してみてください。
どんな気持ちになりましたか?

【補足】
CMなどで外国人が起用される時に、よくオーバーなアクションをしますよね。
「ワーーーオ!」みたいな声で叫んだり、大きく手を広げたり、大げさに手を振ってみたり、他にもホームドラマなどのアテレコの声も妙に芝居掛かったものになっています。
(なだぎ武さんのモノマネをイメージしてもらったらわかりやすいかもしれません。)
「ガイコクジン」を異質なものとして捉え、それを笑いにする。
そういった表現に触れるたびにDAVIDさんは嫌な気持ちになるそうです。
日本語にも精通し、日本文化もよく知るDAVIDさんならではの気づき。
気づかなかったから悪くないもん。ではなく、気づくこともないぐらい根深い問題であると捉える必要があるのかもしれませんね。考えさせられる話だなーと思ってまとめさせていただきました。

語り手:DAVID SMITH(デイビッド スミス)
出身:オーストラリア
日本に住んでいた(る)期間:2007-2008,2011-2012,2013-現在 
聞き手:糀広大

2016年2月18日木曜日

「豊かな」食卓

地域:アフリカ
国:マダガスカル
テーマ:食文化

どこの国の食卓でしょう?




そう思ったのはどうしてですか?

実は、これはマダガスカルの食卓です。
左下にご飯がもりもりに盛られていますね。

もしかしたら、みなさんにとって意外かもしれませんが、日本人よりもマダガスカルの人の方がお米を食べます。
(お米を食べる量の世界ランキングで日本は50位、マダガスカルは10位:2015年トリップアドバイザー調べ)

マダガスカルの気候は米栽培に適しているので、自国で作ったお米を食べています。



でも、天候の影響などで不作の年は住民は飢えの問題に直面するそうです。
日本で生活しているみなさんにとって食べ物の収穫量が生死に直結するかもしれないという状況を想像できますか?


※コメント
佃さんは、現地で生活をする中で「食べること=生きること」と強く実感したそうです。
日本とは違って屠殺の現場を見ることも多く、そのたびに命について考え、米の収穫量が落ち込み、実際に食べ物が手に入りにくくなったときなどには日本の食料廃棄(フードロスト)をしている状況がいかに特殊で、おかしいことかに頭を抱えたそうです。
マダガスカルは非常に貧しい国でしたが、少しのおかずとご飯で、楽しそうに食べる姿や、どんなに貧しくてもさらに貧しい人たちに食べ物を分け与える文化が根付いており、そのような様子を見るたびに、日本よりも「豊かな」マダガスカルの人たちを発見したといいます。
日本人にとって「豊かさ」とは何か。もう一度問い直す必要があるのかもしれません。

語り手/写真:佃麻美(つくだまみ)
活動時期・形態:2009-2011 ・青年海外協力隊(村落開発普及員)

聞き手:糀広大

ハゲ山と牛

地域:アフリカ
国:マダガスカル
テーマ:環境問題

この写真をみてください。
何が見えますか?



マダガスカルではもともとあった90%の森林が失われたと言われています。
焼き畑のため、野焼きのため、そして時には燃料として、また近年では地下資源を採掘するためにも木が切り倒されています。
さまざまな理由はあれども、次々と失われていった豊かな森林。
マダガスカルの豊かな生態系を壊しています。
(マダガスカルにはさまざまな珍しい動物が生活をしています。童謡として有名なアイアイなどもマダガスカルの固有種である話や、映画のマダガスカルの話などを通じてマダガスカルの動物たちの話をするのも◎)



この写真は一見きれいに見えるかもしれません。
でも、この広がる黄緑の山間ももともとは豊かな森林が広がっていたと言われるとどうでしょうか?

マダガスカルの残された10%の森林を守るために、何ができるのでしょう。


※コメント
「森林をつぎつぎに消費しているマダガスカルの人が悪い」といった単純な話ではない。
マダガスカルは世界の中でも最貧国の一つ。
森林を切り拓かなければいけないのには理由があり、そこに日本も無関係ではないということを自覚したい。

語り手/写真:佃麻美(つくだまみ)
活動時期・形態:2009-2011 ・青年海外協力隊(村落開発普及員)
聞き手:糀広大

何もない道

地域:中南米
国:ボリビア
テーマ:ライフサイクル、文化の違い

「これは何をしているのでしょう?」




これはボリビア式ガソリンスタンド(?)の給油風景で、ガソリンを入れている女性はお店の方です。
このように、2Lのペットボトルにガソリンをつめたものを、一本ずつ買うことができます。こうすれば、何本入れたかで料金も計算しやすいですよね。ちょっと保管状態が気になりますが・・・

ボリビアでは日本のようなガソリンスタンドは大きな町にしかありません。ちょっと地方に行くとこのような感じです。特に長距離バスのドライバーさんは、一回給油したら次の給油場所をきちんと考えて毎回給油しています。

だいたい、田舎の道といえば、こんな風に何もありませんから・・・


途中に横切るのはヤギか羊かリャマぐらい。


時々、こんな何もないところで下車して、山の方に向かって歩く地元の人を見ました。お家でもあるのかな?家は全く見えないけど・・・

ボリビアでのバスの旅は、舗装されていないガタガタ道を何十時間も揺られ、硬いシートでお尻が痛くなり、大音量のアクション映画上映会と過酷なものですが、どこに行くとも知れない途中下車したおじいちゃんの後姿を眺めながらその暮らしを想像したり、乗り合わせた子どもたちと遊んだり、物売りのおばちゃんから屋台料理を買ったり・・・。そんな車中で、目的地の先にある「新しい発見」を想像しワクワクすることは、とても楽しく退屈だと感じることはありませんでした。

新幹線や飛行機の旅では、決して得ることの出来ない風景です。



※コメント
日本に住んでいると、どうしても「早い方」「楽な方」を選択する機会が多くなります。でも、それもしょうがないかも知れませんね。そういう社会の流れ、生活のスタイルですから。ボリビアでは、「早い方」「楽な方」が選択できる人は、本当にごくごく一部の限られたお金持ちだけです。しかし、そういう選択をしなくても、お金では買えない素晴らしい風景や経験もあります。どういう選択するのは個人の考え次第ではありますが、お金が無い不便さは決してマイナスな訳ではないということを考えるきっかけになればと思っています。

語り手・写真:橋口恵利子
活動時期・形態:2006-2008 ・青年海外協力隊(視聴覚教育)

選挙の準備はできていますか?

地域:中南米
国:エルサルバドル
テーマ:選挙、民主主義


こちらは、エルサルバドルの首都サンサルバドルのとあるスーパーのお酒売り場です。
「これ、いったいどういう状況でしょう?このテープはナニ?」


エルサルバドルでは、選挙の前日・当日・翌日の3日間、全国で酒類の販売禁止令が施行されます。これはスーパーや商店での酒類の販売禁止や飲食店での酒類提供の禁止も含みます。スーパーではお客さんがお酒を買わないように、このようなテープを張って「今日はお酒が買えない日です」とお知らせしているのです。

「なぜ、選挙の日はお酒が買えないんだと思いますか?」

エルサルバドルの選挙はなかなか情熱的。みな、自身が推薦する候補者や政党があり、その支持している候補者(または政党)のために熱心な支援活動を行います。対立する候補者の支援団体と鉢合わせになろうものなら、いつ紛争状態になってもおかしくありません。


ですので、特にヒートアップするこの3日間はお酒の販売を禁止し、少しでも安全に選挙が行われるようにという意味があります。


そんなエルサルバドルの選挙で私が一番おどろいたのは、子どもたちが選挙運動に参加していることです。先に述べたように、選挙運動にはとても危険が伴うのに、親たちは子どもも引き連れて参加し応援させます。写真の子どもたちはほとんどが10代だと思われ、中央に座っている男の子は小学生でしょう。もっともっと小さな子も参加しています。


エルサルバドルでは満18歳以上の人が選挙権を持つこととなっていますが、このように選挙権が与えられる前から選挙に関わることで、「自分が応援する人。自分が応援する政党。自分が支持する政策」などを、きちんと考えているように思えます。中学1年生の女の子たちが、どの政党を支持するか、その理由までちゃんと話しているのも聞いたことがあります。
危ない選挙運動の場に子どもを連れて行くことについては、個人的には賛成していないのですが、子どもたちが選挙を通して自分の国を作っていくと言う流れを理解していることはとても感心することでした。

日本もまもなく18歳から選挙に参加できるようになります。みなさんは、エルサルバドルの選挙について、どのように感じますか?



※コメント
私自身も、エルサルバドルでの選挙運動を目の当たりにして、日本の選挙、いや自分自身の選挙に対する考えがずいぶんと変わりました。エルサルバドルは1992年まで12年間、長く内戦状態にあった国で、未だ開発途上国と呼ばれる国ではありますが、自分の国を自分たちで何とかしなければと言う思いは私たち日本人よりも大きいように思います。日本の子どもたちにとって、選挙はあまりにもかけ離れた位置にあるように感じます(自分もそうでした)。しかし間もなく、18歳になれば選挙に参加する義務が生じることになります。エルサルバドルの選挙運動について賛否はありますが、是非、同じ年頃の子どもたちが選挙について真剣に考えていると言うことを知り、考えるきっかけになればと思っています。



語り手・写真:橋口恵利子
活動時期・形態:2012-2014 ・シニア海外ボランティア(番組制作)

2016年2月3日水曜日

島国の大問題

地域:大洋州
国:マーシャル諸島(クワジェリン)
テーマ:環境問題、海面上昇

この写真をみてください。
何の写真かわかりますか?




そしてこちらが別の日にほとんど同じ場所を撮影した写真です。



マーシャル諸島のクワジェリン環礁にあるイバイ島の中心部からグジグ村に行くために必ず通らないといけない道の写真です。
下平さんは毎日この道を通って仕事に行っていました。

海抜が低いマーシャル諸島では、年に2回ほどの大潮のひどい時に一枚目の写真のように、道が海水で水浸しになるそうです。もともときれいに舗装されている道ではく、簡易に埋め立てているだけのため、水浸しになると柔らかい地盤になってしまい車などは足を取られてしまいます。


<写真:足を取られて動かなくなってしまったバス>

マーシャル諸島の平均海抜が2メートルであると言われています。
平均海抜が2メートルというのは、もし海面がたった2メートル上昇してしまうだけで生活できなくなってしまうということです。

もし近い将来に皆さんの住んでいる街が海に沈んでしまうかもしれないと言われたらどうしますか?
遠くの外国の話ではなく、自分のことだと捉えてみるとさっきの写真が違って見えてきませんか?

語り手/写真:下平健太
活動時期・形態:2011-2013 ・青年海外協力隊(理数科教師)
聞き手:糀広大

2016年2月1日月曜日

バンジージャンプ

地域:大洋州
国:バヌアツ共和国
テーマ:伝統文化、文化の違い、通過儀礼

皆さんは大人ですか?
それとも子どもですか?

それはなぜですか?
では、いつ、どのようにして大人になるんでしょうか?

次の写真をみてください。


何の写真でしょうか?
どうしてこんなことをしていると思いますか?

これはバヌアツ共和国のペンテコスト島で島民がバンジージャンプ(現地語でナゴール)をしている写真です。
14歳前後になると、男の子は大人になるためにこの儀式に参加しなくてはいけません。
この儀式を通じて自分の強さと度胸、そして村の豊作を祈るのです。

もう一度、聞きます。
皆さんは大人ですか?
それとも子どもですか?
それはどうしてでしょうか?

【実施にあたって】
日本にも、元服(髪型や名前が変わる)のような子どもから大人へと変容させる通過儀礼があったことなどに絡めつつ、現代日本における通過儀礼は何であるか。人は何を持って大人になるのかなどについて考えるきっかけになるかもしれませんね。

語り手:山田泰子
写真:今井考輝
活動時期・形態:2011-2013 ・青年海外協力隊(看護師)
聞き手:糀広大

2016年1月31日日曜日

裸足

地域:大洋州
国:ソロモン諸島
テーマ:文化の違い、先入観

この写真をみて気づいたことを教えてください。
(自由に発言をさせる)


<※裸足についてコメントがなかった場合は「子どもたちの足元に注目してください」などと言って注意を促す。>

この写真は南太平洋にある小さな島国、ソロモン諸島で撮影されたものです。島ではたくさんの人が裸足で歩いています。田舎の土の道ではもちろん、写真のようなアスファルトの上でも、子供、老人問わずペタペタと裸足で歩いています。

「ソロモン諸島の人たちはなぜ裸足で歩くのでしょうか?」
(自由に発言をさせる)

靴が買えないほど貧しいわけでも、お行儀が悪いからでもありません。
彼らは靴やサンダルを持っていても裸足で歩くんです。なぜなら、それが彼らにとっての「当たり前」であり、「普通」だからです。私たち日本人からすると、靴を履かないで外を歩くことは「おかしい」ですよね。でも、それが「普通」の世界もあるんです。

何かの時に裸足になって外を歩いてみるのもいいかもしれませんね。

歩く先に危ないものが落ちてないかな?
石を踏むと痛いでしょう。どこを歩くと痛くないかな?
コンクリート、土、芝生、それぞれの温度や感触はどう?
きっと今までと違う感覚に戸惑うかもしれません。
気持ちいい?それとも嫌?どんな気持ちになるかな?

ふと「これっておかしいなぁ」と思ったとき、おかしいから悪いんだと切り捨てることをせず、裸足で歩くソロモンの子どもたちのことを思い出して一歩踏み出してみてください。もしかすると新しい世界の入り口に足を踏み入れているのかもしれませんよ。

【語り手の想い】
友達の当たり前と私の当たり前。違っていて当然のものを盲目的に同じ意識を共有していると思っていることが時には「偏見」や「差別」、そして学校においては「いじめ」などといった問題にもつながっているのではないでしょうか。遠くの世界の話としてだけでなく、身近な話として捉えてもらえると嬉しいです。

語り手/写真:大庭隆
活動時期・形態:2011-2013 ・青年海外協力隊(村落普及員)
聞き手:糀広大

2016年1月26日火曜日

美意識の違い

地域:大洋州
国:ミクロネシア連邦(チューク州)
テーマ:文化の違い、メディアリテラシー

あなたは好きな人からどのように声をかけられる(褒められる)と嬉しいですか?
(考える&発表など)
(「かわいいね」「かっこいいね」などの意見が出た場合は、具体的にどうかわいいか、かっこいいかなどについて質問し、深める)

ミクロネシア連邦のチューク州では
「君の足はマグロのようだね」
というのが女性への最高の褒め言葉です。
(一本のマグロを見たことのある子どもはあまりいないと思われるので必要に応じてマグロの説明をする。まるで一本のマグロのように立派で太い足であることを褒める表現であることを理解させる)

そんなことを、もし女性に言うと日本ではきっと大喧嘩になるでしょう。

さて、この写真を見てください。
この人を見て、あなたは美しいと思いますか?
(写真を見せる)



ミクロネシアでは太っている人がものすごくモテます。
日本では痩せている方がいいという人が多いですよね。

そして、多くの日本人が自分は太っていると感じています。
実際に、医学的に肥満である日本人は20%程度であるはずなのに、60%から80%が自分は肥満であると考えているという調査データがあるそうです。

では、多くの人がどうして痩せている方がいい、自分は太っていると考えてしまうんでしょうか?
よーく考えてみましょう。
そう思ったきっかけはなんですか?

【書き手の思い】
ダイエットの情報番組などで、十分に痩せている女優さんなどが真面目な顔をして「やせたーーい」などと発言をするのを見るたびに違和感を感じます。
最後の問いへの答えを考える中でコンプレックス産業、ダイエット産業などによる価値観の刷り込みへの気づきや、私たちの感性の源泉を見つめなおすきっかけになればと思います。


活動時期・形態:2011-2013 ・青年海外協力隊(小学校教諭)
書き手・撮影:糀広大

2016年1月25日月曜日

電車内のマナー?

地域:アジア
国:中国(内モンゴル)
テーマ:文化の違い

電車に乗った時のマナーを挙げてください。
(考える時間、発表など)

そうですね。みなさんはマナーを守れていますか?
それでは、この写真を見てみてください。

【写真は調達中※後日アップします】
どんなことを感じましたか?
(考える時間、発表など)

「年齢は?結婚してるの?給料はいくら?」
中国では、電車にのっているととにかく話しかけてくるようです。
車内は騒然としていて耳を塞いでいても聞こえてくるぐらいだとか。

特に、日本人は珍しいようで乗車していると数十人に囲まれて質問攻めになることも少なくないのだとか。

ある時、久保田さんがいつものガヤガヤと騒がしい車内で「うるさいな」とストレスを感じながら、たまたま乗り合わせた大学生と交流していると彼がとても楽しそうに「にぎやかだね」と言ったそうです。

同じ場所で、同じ音を聞いて。
「うるさい」と「にぎやか」

その日以来、久保田さんは「にぎやかな」電車に乗るのが楽しくなったのだとか。
ものの見方や考え方次第で世界の見方がガラリと変わることもあります。

【合わせて面白い話】
中国では電話をするときに(電車の中などでも)大きな声で話すそうです。
なぜだかわかりますか?
それは、小さな声で話しているとやましいことを話していると思われるからだそうです。
電話はとらない、もしくはどうしても仕方ない時は小さな声でするのが日本のマナー。
大きな声で話すのが中国のマナー。

同じシチュエーションなのに全く違う。面白いですね。


語り手:久保田なほみ
活動時期・形態:2013-2015・青年海外協力隊(日本語教師)
聞き手:糀広大

「中国」のイメージ

地域:アジア
国:中国(内モンゴル)
テーマ:先入観、メディアリテラシー

中国と聞いてどんなことをイメージしますか?
(考える時間、発表など)

中国への派遣が決まった時、親からの強い反対があったそうです。
久保田さん自身も、なんとなくネガティブ(いやな)イメージがあり、現地に着くまで不安でいっぱいでした。

到着してからしばらく北京に滞在中は、晴れていても太陽が霞んでおり、PM2.5対策のマスクを外せない状況だったと言います。
しかし、自分の任地である内モンゴルの通遼市(つうりょうし)に到着して空を見上げた久保田さんは息を飲みました。 

(写真を見せる。)



この写真をみて何を感じましたか?
(考える時間、発表など)

最初の「中国」と聞いた時のイメージと比べてどうですか?
(考える時間、発表など)

どうして、「中国」と聞いた時に最初のイメージのような言葉が多く出てきたのでしょう?
(考える時間、発表など)

出てきた意見の中から気づきをまとめる。

【語り手の思い】
中国に自分が住んでみて、その広大さを知り、「中国」とひとくくりにできるような話はないことに気づきました。中国に対する一方的でネガティブなイメージがあるのであれば、それが少しでも変わり、日中友好のきっかけになると嬉しいです。
【実施する上でのヒント】
伝わりにくい場合は日本が世界からどのように見られているのかなどについても言及してもよい。
(東京の高層ビルが立ち並ぶ写真や、時代劇の一場面などを見せて、外国の人がこれを日本であると思っているとしたらどうか?)


語り手/写真:久保田なほみ
活動時期・形態:2013-2015 ・青年海外協力隊(日本語教師)
聞き手:糀広大