2016年8月26日金曜日

トコロ変われば…

地域:アフリカ
国:ガーナ
テーマ:死生観、文化の違い


これが何か分かりますか?


じゃあ、もうひとつヒントを、


これでどうだ?なんだこれは?


答えは、西アフリカのガーナの棺桶です。
ちなみに最後の写真の棺桶は「アリ」の形なんだとか。
亡くなった方が生前の「職業」や「好きだったもの」、「憧れていたもの」などをモチーフにして棺桶を作るそうです。
棺桶の撮影をしていたら棺桶職人さん(生きている)が「こうやって入るんだよ」とデモンストレーションをしてくれたようです。

こういった棺桶は値段が高いので、お金持ちにしかなかなかできないそうですが、なかなか衝撃的な文化ですね。

ちなみに、葬式の時は村の人が集まって陽気にダンスをするそうです。
また、亡くなった方のグッズ(Tシャツやステッカーなど)販売も行われるそうでまるでミュージシャンのライブ会場みたいですね。
写真は亡なった方のプリントされたTシャツを着ている姿です。


ところ変われば死生観も変わる。
ふざけているように思われるかもしれませんが、亡くなった人への思いがなければこんなことしませんよね。
日本式、ガーナ式。
あなたはどっちのお葬式が好きですか?

【補足】
三浦さんが直接見たわけではないそうですが、他の地域のボランティアをしていた知人から聞いた話では亡くなった方を電飾で飾ってクリスマスツリーのようにしている葬式も見たことがあるそうです。大がかりな葬式をする場合は亡くなってから葬式が行われるまでに半年近くかかることもあるらしく、その間は遺体の腐敗を防ぐために冷凍保存されるそうです。
ガーナはキリスト教とイスラム教、そして伝統的な宗教が混在しているので宗教によっては上に書いたようなことはありません。

【ポイント】
他国の文化は、正しい/正しくないと論ずる類のものではなく、考えるきっかけとして非常に面白いものです。
もし、子どもから「おかしい!」といった意見が多く出るようであれば、日本の場合でもお通夜というものがあること、そこでは亡くなった方との思い出話でお酒を飲んだり、笑ったりすることなどを挙げつつ、方法の違いはあれども、「死者への弔い」という意味では大きく変わらないんじゃないか?といった問題提起をするのがいいかもしれません。

語り手/写真:三浦菜津子(みうらなつこ)
活動時期・形態:2012-2014 ・青年海外協力隊(PCインストラクター)
聞き手:糀広大

2016年8月25日木曜日

子どもの死を前に思うこと

地域:アフリカ
国:ニジェール
テーマ:死生観、援助の在り方、医療、伝統文化


この写真を見て気づくことを教えてください。
(どこでとられた?どういう状況?誰が写ってる?などなど)



これは、マラリア(蚊を媒介に流行する感染症)で亡くなったニジェールの子どもの写真です。マラリアは世界の半分ぐらいの国で流行していて、年間に2億人以上がかかり、200万人程度の死亡者がいます。


写真を見て、世界で多くの人が亡くなっていると聞いてどんなことを考えましたか?
おそらく多くの人が頭の中で、

「なんとかしなきゃ!」「助けたい!」
と思ったんじゃないでしょうか?

その思いは自然だと思います。
そして、だからこそ多くの国や団体、企業などが様々な方法でマラリアの多く発症する地域の支援をしています。


しかし、実際に感染症対策のため、ニジェールで国際ボランティアをしてきた阿南さんは今でも「国際協力は本当に必要なんだろうか」と考えるそうです。

厳しい環境の中を生きる人々は、信仰を守り、生も死も受け入れて、幸せそうに笑って生活をしていたそうです。

「死にゆく人を助けたい」という援助する側の思いと、死を受け入れつつ「前向きに生きている人々」というあまりにも矛盾する価値観を目の当たりにした阿南さんならではの考察に思わず私も唸ってしまいました。

みなさんはどう感じますか?
自分ならどう感じるか。行ってみないとわからないことかもしれませんね。
実際にいつの日かいってみてはどうでしょう?
今にも落ちてきそうな満点の星空、静まり返った砂漠の夜。
ニジェールの「豊かさ」をあなたも発見できるかもしれませんよ。


【補足】
子どもの死というショッキングなトピックなので、感情を抜きで考察をするのが難しいかもしれません。「そんなの絶対だめだ」という一方的で感情的な価値観に終始するのではなく、現地の人の思いや考えに「寄り添う」ような想像的な話の展開をしたいところです。
「医療:死を受け入れられない」「宗教:死を受け入れている」などといったリフレーミングをすると違う意見が出るきっかけになるかもしれません。

語り手/写真:阿南栄子(あなんえいこ)
活動時期・形態:2008-2010 ・青年海外協力隊(感染症対策)
聞き手:糀広大